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2023年08月09日
助成金

2023年度 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)について

本記事は、2023年度に創設されました、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)についてまとめました。

①   人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コースとは?

事業展開等リスキリング支援コースは、今年度、新たに人材開発支援助成金に新設されたコースです。新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成されます。

② 助成率・助成額について

助成額・助成率は次の表のとおりです。

経費助成 賃金助成
(1人1時間当たり)
75%
(60%)
960円
(480円) 

※( )内は中小企業以外の助成額・助成率

※ 同一の事由(同一の訓練受講、経費、賃金等)に係る助成制度を複数利用する場合、併給できない場合があります。 詳細はそれぞれの助成制度を所管する都道府県労働局・自治体・団体などにお問い合わせください。

※ eラーニングによる訓練等、通信制による訓練等、定額制サービスによる訓練及び育児休業中の者に対する訓練等は経費助成のみです。

③ 支給限度額

(1) 経費助成限度額(1人1訓練当たり)

1人1訓練当たりのOFF-JTにかかる経費助成の限度額は、 実訓練時間数に応じて下表のとおりです。

企業規模 10時間以上
100時間未満
100時間以上
200時間未満
200時間以上
中小企業事業主 30万円 40万円 50万円
中小企業以外の事業主 20万円 25万円  30万円

※ 専門実践教育訓練の指定講座の訓練については、一律「200時間以上」の区分となります。
※ eラーニング及び通信制による訓練等(標準学習時間が定められているものは除く。)については、 一律「10時間以上100時間未満」の区分となります。
※ 定額制サービスによる訓練の場合は、訓練時間数に応じた限度額は設けません。

(2) 賃金助成限度額(1人1訓練当たり)

1,200時間が限度時間となります。ただし、専門実践教育訓練については1,600時間が限度時間 となります。

(3) 支給に関する制限

  • 訓練等受講回数の制限助成対象となる訓練等の受講回数の上限は、1労働者につき1年度※で、3回までです。
  • 1事業所の支給額の制限 1事業所が1年度※に受給できる助成額は、1億円

※ 支給申請日を基準とし、4月1日から翌年3月31日まで

④ 訓練対象者について

訓練対象者 申請事業主における被保険者
基本要件  ➤OFF-JTにより実施される訓練であること

➤実訓練時間数が10時間以上※であること

➤次の① または ②の いずれか に当てはまる訓練であること ただし、①の事業展開については、訓練開始日(定額制サービスによる訓練の場 合は契約期間の初日)から起算して、3年以内に実施される予定のもの又は6か月以内に実施したものであるものに限る。

① 事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識及び技能の習得 をさせるための訓練

② 事業展開は行わないが、事業主において企業内のデジタル・デジタルトランス フォーメーション(DX)化やグリーン・カーボンニュートラル化を進める場合に これに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識及び技能の習得を させるための訓練

※eラーニングによる訓練等及び通信制による訓練等については、標準学習時間が10時間以上または標準学習期間が1か月以上であること。

※定額制サービスによる訓練の場合は、各支給対象労働者の受講時間(標準学習時間)の合計時間数が、支給申請時において10時間以上であること。なお、この10時間は、実際の動画の視聴等の時間ではなく、標準学習時間によりカウントします。

(1) 「事業展開」とは?

新たな製品を製造し又は新たな商品もしくはサービスを提供すること等により、新たな分野に進出する こと。このほか、事業※1や業種※2を転換することや、既存事業の中で製品又は商品若しくはサービスの 製造方法又は提供方法を変更する場合も事業展開にあたります。

事業展開【取り組み例】

・新商品や新サービスの開発、製造、提供又は販売を開始する
・日本料理店が、フランス料理店を新たに開業する
・繊維業を営んでいた事業主が、医療機器の製造等、医療分野の事業を新たに開始する
・料理教室を経営していたが、オンラインサービスを新たに開始する 等

※1 総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業をいいます。
※2 総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は再分類の産業をいいます。

(2) 「デジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)化」とは?

ビジネス環境の激しい変化に対応し、デジタル技術を活用して、業務の効率化を図ることや、顧客や 社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、 プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することを目的とした取り組みになります。

DX化【取り組み例】

・ITツールの活用や電子契約システムを導入し、社内のペーパーレス化を進めた
・アプリを開発し、顧客が待ち時間を見えるようにした
・顔認証やQRコードなどによるチェックインサービスを導入し手続きを簡略化した 等

(3) 「グリーン・カーボンニュートラル化」とは?

徹底した省エネ、再生可能エネルギーの活用等により、CO2等の温室効果ガスの排出を全体としてゼロ にすることを目的とした取り組みになります。

グリーン・カーボンニュートラル化【取り組み例】

・農薬の散布にトラクターを使用していたが、ドローンを導入した
・風力発電機や太陽光パネルを導入した 等

(4) 定額制サービスによる訓練の要件を満たすイメージとは?

定額制サービスによる訓練の要件を満たすイメージは以下のとおりです。 定額制サービスによる訓練については、職務に関連した教育訓練を修了した者であり、その修了した教育訓 練の標準学習時間の合計時間数が1時間以上の者の受講時間数を合計し、10時間以上であることが必要です。

⑤ 対象となる経費について

事業主がOFF-JTを実施した場合に支給対象となる経費は、下記の通りです。 なお、支給申請までに対象経費の全額を申請事業主が負担していることがわかる書類が必須です。
※従業員などに負担させた場合、助成金は支給されません。

事業内訓練
(事業主が企画し 主催するもの)
●部外の講師への謝金・手当 所得税控除前の金額(旅費・車代・食費等は含めない。)
※実訓練時間1時間当たり3万円が上限(消費税込み)。 ※謝金以外の日当は社内の支出規定がある場合のみ1日当たり上限3千円まで計上可。●部外の講師の旅費 勤務先又は自宅から訓練会場までに要した旅費(車代・食費等は含めない。)
※1訓練あたり、国内招へいの場合は5万円、海外からの招へいの場合は15万円が上限
※東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、京都府、大阪府及び兵庫県以外に所在する 事業所が同道県外から招へいする講師に限る。
※鉄道賃(グリーン料金除く)、船賃(特1等除く)、航空賃、バス賃及び宿泊費とする。 宿泊費は1日当たり上限1万5千円まで計上可。●施設・設備の借上費 教室、実習室、ホテルの研修室等の会場使用料、マイク、OHP、ビデオ、 スクリーン等訓練で使用する備品の借料で、助成対象コースのみに使用した ことが確認できるもの●学科や実技の訓練等を行う場合に必要な教科書・教材の購入費
※教科書については、頒布を目的としていて発行される出版物のみ●訓練コースの開発費 学校教育法の大学、高等専門学校、専修学校又は各種学校に職業訓練の 訓練コース等を委託して開発した場合に要した費用及び当該訓練コース等の 受講に要した費用
事業外訓練
(事業主以外の者 が企画し主催するもの)
●受講に際して必要となる入学料・受講料・教科書代等、あらかじめ受講案内等で定 めているもの(定額制サービスによる訓練の場合は、基本利用料に加え、初期設定費用や アカウント料等の教育訓練に直接要するオプション料金も対象)
国や都道府県から補助金を受けている施設が行う訓練の受講料※や受講生の旅費等は対象外です。※ 都道府県や(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の職業能力開発施設が実施する訓練(高度職 業訓練及び生産性向上人材育成支援センターが実施する訓練を除く)、都道府県から認定訓練 助成事業費補助金(広域団体認定訓練助成金を除く)を受けている認定職業訓練の受講料、教科書代等。

⑥ 申請のながれについて

人材開発支援助成金では、従業員の計画的な職業能力開発に取り組む事業主等を支援す るため、「職業能力開発推進者」の選任と「事業内職業能力開発計画」の策定・周知をして いる事業主を対象としていますので、職業訓練実施計画届の提出までに選任・策定(※)・ 従業員への周知を行っていることが必要です。

※選任・策定後の内容の変更に係る届出等は不要です。
※本社で支社の申請を一括して行うことも可能です。

(1) 職業能力開発推進者とは?

職業能力開発推進者(以下、推進者)は、社内で職業能力開発の取組みを推進するキーパーソンです。 具体的には、事業内職業能力開発計画の作成・実施、 職業能力開発に関する労働者への相談・指導などを行います。

【推進者の選任に当たってのポイント】

❶ 推進者は、事業内職業能力開発計画の作成・実施や労働者への適切な相談・指導が 行えるよう、従業員の職業能力開発および向上に関する企画や訓練の実施に関する 権限を有する者を選任してください。 (例:教育訓練部門の部課長、労務・人事担当部課長など)

❷ 事業所ごとに1名以上の推進者を選任してください。

※ただし、常時雇用する労働者が100人以下の事業所であって、その事業所に適任者がいない場合などは、本社とその事業所の推進者を兼ねて選任することができます。また、複数の事業主が共同して職業訓練を行う場合は、複数の事業所の推進者を兼ねて選任することができます。

(2) 事業内職業能力開発計画とは?

事業内職業能力開発計画(以下、事業内計画)は、自社の人材育成の基本的 な方針などを記載する計画 であり、従業員の職業能力開発について、企業の経営者や管理者と従業員が共通の認識を持ち、目標に向かってこれを進めることで効果的な職業能力開発を行うことが可能になり、さらに、従業員の自発的な学習・訓練の取組意欲が高まることも期待されます。
作成した計画は従業員に周知し、職務に必要な能力や自社の育成方針について共有しましょう。

⑦ 助成金申請の代行について

当社では、高いスキルを持つ社会保険労務士のご紹介などサポートします。また会社の事情に合わせた、さまざまな助成金の提案なども行うことができますので、助成金の申請に悩まれているご担当者様は申請のながれや申請料など、ぜひお問い合わせください。

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