令和6年6月14日の参議院本会議で改正出入国管理法が賛成多数で可決・成立しました。今回は新制度「育成就労」について従来の技能制度との違いに解説していきます。
① 育成就労制度とは?
育成就労制度とは、現行の技能実習制度に代わる新たな外国人雇用に関する制度です。2024年3月15日に政府が閣議決定しました。従来の外国人技能実習制度1号〜3号は廃止となる予定で、新たな制度として育成就労制度が創設されます。
技能実習制度が国際貢献人材育成を目的としていた制度に対し、新制度である育成就労では、「人材確保と人材育成を目的」としており、「基本的に3年間の育成期間で特定技能1号の水準の人材に育成」することを目的としています。
(1)育成就労制度と技能実習制度の違い
従来の技能実習制度と育成就労制度について、主な違いを表にまとめました。
制度 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
目的 | ◇国際貢献 ◇人材育成 |
◆特定技能1号に移行できる人材の育成 ◆産業分野での人材確保 |
期間 | ◇最大5年(1-3号) | ◆最大3年※相当の理由(試験に落ちる等)があれば最大1年延長可 |
転籍 | ◇不可 | ◆条件を満たせば可能 ①やむを得ない事情がある場合 ②・同一業種であり ・分野で定められた期間就労しており ・技能、日本語の水準が満たされており ・転籍先が適正な場合 |
関係機関 | ◇監理団体 ◇外国人技能実習機構 |
◆監理支援機関 ◆外国人育成就労機構 |
② 育成就労制度の受入れ対象分野
育成就労制度は特定技能1号への移行のための在留資格であることが明確化されました。育成就労制度は、当初は非専門的分野に位置付けられますが、一定期間の育成を経て、専門的・技術的分野である特定技能1号への移行を想定されています。したがって、育成就労産業分野は、特定技能の対象産業分野の中から指定されると見られています。
(1)受け入れができなくなる可能性がある分野について
例えば、スーパーなどで刺身や惣菜の加工などを行う場合、現行の技能実習制度では「職種・作業の観点」で受入れの可否を判断していました。一方、育成就労制度では、スーパーは小売業であり、飲食料品製造の産業分野には該当しないため、育成就労や特定技能の対象にならず受入れできない状況が考えられます。
他にも、製造業なども技能実習制度から新制度に移行できない問題が発生すると考えられます。このように、現行の技能実習制度では受入れ可能な職種であっても、「新制度で受入れができない」職種が発生する懸念がありました。
2024年3月29日「特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について」の閣議決定により、特定技能制度の対象分野の追加・拡大が行われました。これにより、育成就労制度においても、同様の対象分野での受け入れが可能となると思われます。
(2)特定技能制度において追加となる対象分野
- 自動車運送業
- 鉄道
- 林業
- 木材産業
(3)特定技能制度において新たな業務が追加される産業分野
- 工業製品製造業分野
- 造船・舶用工業分野
- 飲食料品製造業分野
技能実習制度では1社あたりの受入人数が決められていますが、育成就労制度が始まる際にも同様に人数枠が設定されると考えられます。
③ ミャンマー人特定技能の受入について
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